フリーランスエンジニアのSESと直案件の違い【実際にやってみた話】

案件・働き方

「フリーランスエンジニアとして独立したのに、SES案件をやっているのはおかしいんじゃないか」——そういう意見をたまにネットで見かける。

正直に言う。自分はフリーランス独立後もSES案件(準委任契約)をメインにやっている。それで年収は会社員時代より上がっている。

この記事では、SES案件と直案件の違いをエージェント経由で実際に案件を取ってきた当事者目線で整理する。「SES vs 直案件」という対立構造ではなく、それぞれの実態と使い分けを正直に書いていく。

フリーランスエンジニアのSES案件とは何か

まず言葉の整理から入る。

SESとは「System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)」の略で、エンジニアの労働力をクライアント企業に提供する契約形態だ。法的には準委任契約が多い。

フリーランスエンジニアがSES案件に参画する場合、一般的な流れはこうなる。

  1. フリーランスエージェント(レバテック・Findy等)に登録する
  2. エージェントがクライアント企業の案件を紹介する
  3. フリーランスエンジニアとエージェントが業務委託契約を結ぶ
  4. エンジニアはクライアントのプロジェクトに入って作業する

ここで注意が必要なのは、フリーランスエンジニアの契約相手はエージェントであって、クライアント企業ではないという点だ。エンジニアが受け取る報酬は「エンジニアの単価 − エージェントのマージン」になる。

これがSES案件の基本構造だ。

一方で直案件(直請け案件)は、エンジニアがクライアント企業と直接契約する形態を指す。エージェントを介さないため、マージンが発生しない。

SES案件と直案件の違いを比較する

両者の違いを主要な観点で整理する。

比較項目SES案件(エージェント経由)直案件(直契約)
単価エージェントマージン分が引かれる(10〜20%程度)マージンなし。交渉次第で高単価も狙える
案件数多い。エージェントが常時多数の案件を保有している少ない。人脈・SNS・紹介がメインの獲得ルート
参入しやすさ登録→面談→参画まで早い(2〜4週間が目安)案件探しに時間がかかる。営業力が必要
契約の安定性エージェントが契約・請求を管理してくれる契約書・請求書を自分で管理する必要がある
スキル幅プロジェクトの範囲内に限定されやすい要件定義から関われる案件もある
営業コストエージェントが案件を紹介してくれる自分で営業・提案・クロージングが必要

単価だけを見ればSES案件は不利に見える。ただし「案件数の多さ」「参入しやすさ」「営業コストの低さ」というメリットは実際にかなり大きい。これは独立初期には特に効いてくる。

一点、直案件には見落とされやすいリスクがある。エージェントを介さずに自分で営業していた時期の話だが、面談まで通過したにもかかわらずクライアント側の都合(予算削減・採用凍結・別候補の採用等)で2回連続で見送りになったことがある。自分で動いて時間と労力をかけた分、精神的なダメージが大きかった。SES案件でも案件が流れることはゼロではないが、エージェントが常時多数の案件を持っているためリカバリーがしやすい。直案件は単価の天井が高い反面、1件ずつの重みが大きく、流れたときのコストも高い。

SES案件のメリットを正直に話す

SES案件のメリットは3つある。実体験をもとに書く。

1. 案件が途切れにくい

エージェントには常時数十〜数百の案件がある。自分のスキルに合う案件を複数紹介してもらえるため、選択肢が広い。

直案件では「次の案件が見つかるまで収入ゼロ」というリスクがある。SES案件なら稼働中にエージェントが次を探してくれる。フリーランス独立初期は案件の継続性がメンタル的にも重要で、SES経由はこの不安を大きく下げてくれる。

2. 契約・請求まわりをエージェントがやってくれる

フリーランス独立直後は、契約書のレビューや請求書の発行タイミングなど、業務以外の事務作業に慣れていない人が多い。

SES案件ではエージェントが契約・請求を管理してくれる。毎月決まったタイミングで報酬が入ってくる仕組みは、ビジネス事務に不慣れな独立1年目には助かる。

3. Findyなら直契約で中間マージンがない

Findy Freelanceは「エンジニアとクライアント企業の直接契約をサポートする」モデルを採用している。エージェント経由のSES案件にありがちな中間マージンが発生しない仕組みだ。

自分が使っているエージェントの中では、Findyだけがこの構造になっている。マージンがないぶん、提示単価がそのまま受け取れる点は他のエージェントにないメリットだ。ただし取り扱い案件はPHP以外のモダン技術寄りが多いため、PHPメイン層には案件数が少ない印象を持つかもしれない。

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SES案件のデメリットも正直に書く

いいことだけ書いても意味がないので、デメリットも書く。

中間マージンで手取り単価が下がる

エージェント経由のSES案件では、クライアントが払っている金額とエンジニアが受け取る金額の間に差がある。エージェントのマージンは一般的に10〜20%程度と言われている。

例えばクライアントが月100万円を払っているとしても、エンジニアには80〜90万円しか入らない。この差は「エージェントのサービス料」として合理的ではあるが、単価交渉が進んでくると気になってくるポイントだ。

担当するタスクの幅が狭くなりやすい

SES案件ではクライアントのプロジェクトの一部分を担当する形になることが多い。上流工程(要件定義・設計)には関わりにくく、実装・テストに特化した稼働になりがちだ。

「フリーランスになってスキルの幅を広げたい」という目標があるなら、受け持つ業務範囲を事前に確認して案件を選ぶ必要がある。参画前の面談でどの工程を担当するかを必ず確認しておくことを勧める。

結論:SES中心でも月単価65万円・年収800万円が現実の射程圏に入る

「SES案件をやっているのはフリーランスとして半人前」という意見があるのは知っている。だがそれは実態を知らない話だ。

自分は現在、SES案件(準委任契約)をメインに月単価65万円で稼働している。年間換算で780万円になる。スキルと実績をさらに積み上げれば、800万円は十分に狙える水準だ。直案件と比べてマージン分は引かれるが、案件の安定性・営業コストの低さ・契約管理の手間のなさを考えると、トータルで見て合理的な選択だと思っている。

「SES vs 直案件」を対立構造で考えるより、自分のフェーズに合わせて使い分けるという発想が現実的だ。独立初期はSESで安定収入を確保しながらフリーランスとしての動き方を学び、実績が積み上がったところで直案件の獲得に挑戦するというルートは十分に有効だ。

月単価の目安で言えば、PHPメインであれば60〜65万円台の案件は十分に現実的だ。テクフリやITプロパートナーズ経由では税込70万円前後の案件も出てくる。自分の今の単価はそこから積み上がってきた結果であって、最初からではない。スキルと実績を積んでいけば、SES案件でも高単価は取れる。

エージェント経由でSES案件を探すときの注意点

最後に、エージェントを使ってSES案件を探すときに知っておくべきポイントをまとめる。

  • 複数エージェントに登録する:1社だけだと案件の選択肢が狭い。3〜4社に登録して比較する
  • 単価交渉は遠慮しない:最初に提示された単価は交渉の余地がある。「希望単価」を明確に伝える
  • 面談前に担当業務範囲を確認する:参画後に「思っていた仕事と違う」を防ぐために、工程と技術スタックを事前確認する
  • マージン率を気にするならFindy:直契約モデルのFindyはマージンなしで単価をそのまま受け取れる
  • 契約終了のタイミングを早めに動く:案件が終わる1〜2ヶ月前から次の案件探しを開始する。余裕を持って動くことで焦りが減る

エージェントの選び方・使い分けについては「フリーランスエージェントは複数登録すべき?使い分け方を解説」で詳しく書いているので、あわせて読んでほしい。

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