VPN比較【フリーランスエンジニアがカフェ・ホテル作業で使ったNordVPN・Proton VPNのレビュー】

ツール・サービス比較

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フリーランスエンジニアになってから、カフェやコワーキングスペース、ホテルで作業する機会が増えた。

そのたびに気になるのが「このフリーWi-Fi、本当に使っていいのか」という問題だ。

会社員のときはVPN接続が当たり前だった。独立したとたん、自分で判断して自分で環境を整えないといけなくなる。しかも業務委託という形態上、クライアント情報や未公開のコードを外で扱う機会もある。セキュリティは他人事ではない。

この記事では、実際に使ってみたNordVPN・ExpressVPN・Proton VPNを比較しながら、フリーランスエンジニアがVPNを選ぶ際の判断基準をまとめる。無料VPNの危うさや、VPN費用の経費計上まで含めて解説する。

フリーランスエンジニアにVPNが必要な理由

フリーWi-Fiの具体的なリスク

カフェやホテルのフリーWi-Fiが危険と言われる理由は、主に2つある。

1つ目は「通信の盗聴」だ。同じネットワークに接続している第三者が、特定のツールを使うと通信内容を傍受できる状態になることがある。HTTPSで暗号化されているサイトであれば内容は守られるが、すべての通信がHTTPSとは限らない。

2つ目は「偽のアクセスポイント(Evil Twin攻撃)」だ。本物のカフェのWi-Fiと同じ名前の偽アクセスポイントが用意されていて、接続すると通信がすべて攻撃者を経由するという手口がある。見た目では区別がつかない。

ホテルやコワーキングスペースのWi-Fiも同様だ。設備としては整っていても、同じネットワーク上に不特定多数が接続している環境であることに変わりはない。ホテルやカフェで作業する場合はVPNを通すことを基本にしている。

業務委託という立場がリスクを高める

会社員とフリーランスでVPNの重要度が変わる理由は、「守秘義務の主体」が違うからだ。

会社員なら情報漏洩時の責任は組織が一次対応する。しかしフリーランスエンジニアは個人として業務委託契約を結んでいる。契約書に守秘義務条項がある場合、情報漏洩が起きたとき個人として損害賠償の対象になりうる。

SES案件で客先の未公開システムにアクセスする場面、コードレビューの内容をSlackでやりとりする場面、GitHubにプッシュする場面——これらすべてに守秘義務が絡む可能性がある。外出先での業務が増えるほど、VPNは任意ではなく実質的な業務上の必要経費になる。

NordVPN・ExpressVPN・Proton VPN の3択比較

VPNを調べると無数のサービスが出てくるが、フリーランスエンジニアが実際に検討するのはこの3択に絞られることが多い。それぞれの特徴を整理する。

NordVPN

世界最大規模の利用者数を持つVPNサービス。パナマに本社を置き、ノーログポリシー(通信履歴を保存しない)を独立監査で定期的に検証している点が信頼性の根拠になっている。

サーバー数は6,000台以上あり、日本国内サーバーも複数存在する。接続するサーバーを国内に絞れば速度低下を最小限に抑えられる。

料金は月換算で200〜500円程度(2年プランの場合)。VPNの中では標準的な価格帯で、長期契約にするほどコストが下がる仕組みだ。

実際に使ってみた印象として、国内サーバーに繋いでいる限りは速度の低下をほとんど感じない。 GitHubへのpushやSlackの利用は普段と変わらず動く。 フリーランスになってから外出先での作業が増えたのをきっかけに導入したが、想像より快適に使えている。 アプリの操作感もシンプルで、接続・切断がワンタップで完結するのが地味に助かる。

ExpressVPN

速度と安定性で業界トップクラスと評価されることが多いVPN。英領ヴァージン諸島に登記(Kape Technologies傘下)しており、独自開発の「Lightway」プロトコルを搭載している。このプロトコルは接続の速さと安定性を重視して設計されており、公衆Wi-Fiへの接続直後でも素早くVPNトンネルが確立される。

料金はNordVPNより割高で、月換算500〜1,000円程度になることが多い。速度を最優先するならExpressVPNが選ばれるが、フリーランスの日常業務では速度よりもコストを優先するケースが多い。

試しに使ってみた期間、速度の速さは確かに体感できた。 ビデオ通話が多い日や、大きめのファイルを扱う作業のときに差が出やすい印象だ。 ただし料金がNordVPNより高めで、日常的に使う分にはその差を意識するほどの速度差かというと、自分の用途では微妙なラインだった。 速度を最優先したい人には向いているが、コスパも考えると悩ましい選択肢だ。

Proton VPN

スイスに本社を置くProton AG(ProtonMailの会社)が運営するVPN。強力なプライバシー保護で知られるスイスの法律の下で運営されており、ログを保存しないことをオープンソースのコードで証明できる点がエンジニアからの支持を集めている。

無料プランが存在するのも大きな特徴だ。サーバー数や速度に制限があるが、VPNとしての基本機能は無料で使える。有料プランはNordVPNと同等の価格帯で、セキュリティ意識が高いユーザーに選ばれることが多い。

無料プランを試したことがあるが、速度は正直おまけ程度に考えておいた方がいい。 「VPNってどういうものか試してみたい」という段階なら十分だが、日常業務で使い続けるのはキツい。 有料プランに切り替えると速度はかなり改善され、セキュリティ面への信頼感はサービスの中でもトップクラスだと思っている。 エンジニアとしてOSSで設計が確認できる点は素直に安心感がある。

国産VPN:MillenVPN

日本国内のサービスも紹介しておく。MillenVPNはエックスサーバーグループが運営する国産VPNで、日本語サポートが充実しており、日本国内サーバーへの接続速度が安定している。

「海外のサービスは不安」「日本語でサポートを受けたい」というニーズには合う。ただし、国際的な監査実績や独立したノーログ検証という面では大手に及ばない部分もある。

比較表まとめ

サービス本社所在地ノーログ監査月額(2年プラン目安)無料プラン
NordVPNパナマあり(独立監査)約200〜500円なし
ExpressVPN英領ヴァージン諸島(Kape Technologies傘下)あり約500〜1,000円なし
Proton VPNスイスあり(OSS)約300〜600円あり(機能制限)
MillenVPN日本なし(国産)約300〜400円なし

実際に使ってみた感想(速度・安定性・使い心地)

作業中に気になった速度低下の実態

VPNを使うと通信速度が落ちると思っている人が多いが、実際には「どのサーバーに繋ぐか」による部分が大きい。

日本国内のサーバーに接続した場合、体感ではほとんど速度差を感じない。ビデオ通話、GitHubへのプッシュ、Slackの通常利用は問題なくこなせる。差が出るのは、海外サーバーに接続した場合や、VPNサーバーが混雑している時間帯だ。

カフェで作業することが多いので、実際にNordVPNを繋いだ状態でビデオ通話やGitの操作をしている。 スタバのWi-Fiに繋いでNordVPNを有効にした状態でも、通話が途切れることはほとんどない。 GitのpushはVPNなしの状態と比べると数秒遅いと感じることはあるが、実用上は問題ないレベルだ。 コワーキングスペースの回線が安定しているときは速度差を全く意識しない日もある。

接続の安定性と自動接続機能

VPNで地味に大事なのが「Kill Switch(キルスイッチ)」機能だ。VPN接続が突然切れた場合に自動でネットを遮断する機能で、これがないとVPNが切れた瞬間にノーガードの状態でデータが流れてしまう。

NordVPN・ExpressVPN・Proton VPNの3つはいずれもKill Switchに対応している。カフェのWi-Fiは接続が不安定になることがあるので、Kill Switchは必須で確認するべき機能だ。

「Wi-Fiに繋いだら自動でVPN接続」する設定もある。これを有効にしておけば、うっかりVPNを起動し忘れてカフェの回線に直接繋いでしまうという事故を防げる。外出先での作業が多いフリーランスには必ず設定しておきたい。

無料VPNは使っていいか

無料VPNの収益モデルを考えると答えが出る

「無料で使えるVPN」は世の中に多数存在するが、フリーランスエンジニアが業務で使うのは避けた方がいい。

VPNサービスを運営するにはサーバーコストが必要だ。無料で提供できているということは、そのコストを別の方法で回収していることを意味する。最も一般的なのは「ユーザーの通信履歴・行動データを広告会社に販売する」というモデルだ。

プライバシーを守るためのVPNが、むしろデータを売られる手段になるという逆転現象が起きる。業務上の機密情報が関わる環境でこれは使えない。

Proton VPN無料プランは例外的に安全

「完全に無料はダメ」という話の例外が、Proton VPNの無料プランだ。

Proton AGは有料プランの収益でサービスを運営しているため、無料ユーザーのデータを売る必要がない。オープンソースでコードが公開されており、ログを取っていないことを技術的に検証可能な作りになっている。

ただし無料プランは速度制限とサーバー数の制限がある。日常的に外出先で作業するなら有料プランへの切り替えが現実的だ。「まずVPNというものを試してみたい」という段階なら、Proton VPN無料プランから始めるのはアリだと思う。

避けるべき無料VPNの特徴

  • 運営会社が不明確・所在地が中国などデータ開示リスクの高い国
  • プライバシーポリシーにデータ収集・販売の記述がある
  • ノーログポリシーの独立監査を受けていない
  • ブラウザ拡張機能だけで提供されている(端末全体の通信を保護しない)

VPNの費用は経費計上できるか

フリーランスエンジニアの場合は経費になる

結論から言うと、業務上の必要性が説明できる場合はVPN費用を経費計上できる。

フリーランスエンジニアが外出先で業務を行い、そのセキュリティ対策としてVPNを使っているのであれば「通信費」または「消耗品費」として計上するのが一般的だ。

判断の基準はシンプルで、「仕事をするために必要かどうか」だ。外出先での業務がほとんどなければ理由が薄くなるが、カフェやコワーキングスペースで定期的に作業するフリーランスエンジニアであれば、VPNは実態として仕事道具だ。

月額数百円程度のサービスなので、経費計上する金額自体は小さい。しかし「業務上の必要性があるものはきちんと経費にする」という習慣はフリーランスとして大切な考え方だ。

仕事・プライベート兼用の場合

VPNを仕事だけでなく、動画視聴や個人的なプライバシー保護にも使っている場合は、按分して計上するのが正しい処理だ。

「業務で使う割合が高い」と説明できるなら多め(70〜80%)に按分しても問題ないケースが多いが、合理的な根拠を持っておくことが大切だ。経費の判断に迷う場合は税理士に確認することを推奨する。

免責事項:経費計上の取り扱いは個人の状況により異なります。詳細は税理士等の専門家に確認してください。

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まとめ:どのVPNを選ぶべきか

ここまでの内容をふまえて、フリーランスエンジニアが選ぶ場合の判断軸を整理する。

こんな人におすすめ
コスパ重視・まず使い始めたいNordVPN(2年プラン)
速度を最優先したいExpressVPN
プライバシー重視・OSSで確認したいProton VPN(有料)
まず無料で試したいProton VPN(無料)
日本語サポート・国産にこだわるMillenVPN

自分が最初にVPNを導入したときに重視したのは「ノーログポリシーの信頼性」「日本国内サーバーへの接続速度」「長期契約のコスパ」の3点だった。

今メインで使っているのはNordVPNだ。 ノーログポリシーの独立監査・日本国内サーバーの安定性・2年プランのコスパの3点が決め手だった。 フリーランスになってから外出先での作業が増えた。 セキュリティリスクが高い公衆Wi-Fiを業務で使うのに抵抗があり、まず一番信頼できるサービスを選ぼうと思って選んだ経緯がある。 月換算で数百円なので、ツール費用としては気にならない水準だ。

VPNは「入れておけば完璧」ではなく、あくまでもセキュリティ対策の一層に過ぎない。しかしカフェやホテルで業務をする機会があるフリーランスエンジニアにとって、VPNなしの状態で作業を続けることのリスクは無視できない。月数百円の投資で守れるものは守っておくべきだと思っている。

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