フリーランスエンジニアになって最初にやったことのひとつが、自宅の作業環境を整えることだった。
会社員のときはオフィスの椅子・モニター・ネット回線がすべて会社持ちだった。独立した途端、それが全部自腹になる。しかも「仕事道具」だから、ケチると生産性に直結する。どこに・いくら・何のために投資したかをそのまま公開する。
ついでに「これって経費になるの?」という疑問にも答えていく。結論から言うと、フリーランスエンジニアの自宅作業環境は大部分が経費として計上できる。そこも含めてまとめた。
フリーランスエンジニアの自宅作業環境の全体像
まず全体のセットアップを俯瞰しておく。
- メインPC:ThinkPad X13(メモリ32GB)
- モニター:I-O DATA 外付けモニター
- モバイルモニター:InnoView
- デスク:シンプルな固定デスク(こだわりなし)
- チェア:安めのもので十分という判断(こだわりなし)
- キーボード:Keychron K1 SE(メカニカル)
独立前から持っていたものと、独立をきっかけに新しく揃えたものが混在している。それぞれに「なぜ買ったか」の理由がある。順番に見ていく。
デスク・チェア(費用と選んだ理由)
デスクとチェアはこだわらなくていいと思っている
「フリーランスになったらまずいい椅子を買え」という話をよく聞くが、自分の場合はあまりこだわらなかった。安めのシンプルなデスクとチェアで今のところ十分機能している。
ハーマンミラーやオカムラの高級チェアが仕事の生産性を上げるという話は理解できるが、まず試してみて「本当に必要だな」と感じたら投資すれば十分だと思う。最初から高額な家具に何十万も使うのは、フリーランス初期の投資優先度としては低い。PC周辺機器の方が費用対効果は高い。
PC・モニター(費用とスペック選び)
PCはスペックより安定性で選んだ
フリーランスエンジニアのPCは「業務委託先に合わせる」か「自前のを持ち込む」かでスペック要件が変わる。自分の場合は自前のThinkPad X13を持ち込んで稼働している。
開発環境はローカルで動かすことが多いため、メモリは16GB以上を必須条件にした。16GBだとDockerを複数立ち上げながら他のアプリを使うとスワップが発生し始めるが、32GB積んでおくとほぼ詰まることがない。
使っているのはLenovo ThinkPad X13で、メモリは32GB積んでいる。DockerコンテナをいくつかあげながらIDEやブラウザを開いても余裕があって、開発作業中にスワップが気になることはほぼない。ThinkPadは軽量かつキーボードの打鍵感が安定していて、長時間の在宅作業にも外出時にも使いやすいのが気に入っている。
モニターは作業効率に直結する
モニターを外付けにするだけで、作業効率は体感で1.5倍以上変わる。ラップトップ1台だと画面が狭くて、コードを書きながらブラウザを並べるのが辛い。
自宅では I-O DATA の外付けモニターをメインに使っている。画面が増えるだけでコードを書きながらドキュメントを開いておくことが楽になり、作業効率は体感で大きく変わった。出先や外出先ではInnoViewのモバイルモニターを持ち込むこともある。軽くてThinkPadとUSB-C一本で繋がるので、カフェや出張先でのサブディスプレイとして重宝している。
| アイテム | 製品名 | スペック |
|---|---|---|
| メインPC | Lenovo ThinkPad X13 | メモリ32GB |
| モニター(自宅用) | I-O DATA 外付けモニター | — |
| モニター(外出用) | InnoView モバイルモニター | USB-C接続 |
ネット回線・Wi-Fi環境
回線は速度よりも安定性が重要
フリーランスエンジニアにとって回線の問題は死活問題だ。オンラインミーティング中に回線が落ちる、Gitのプッシュがタイムアウトするといったことがあると、信頼を損なうリスクがある。
「速度」よりも「安定性」を重視するのが正しい判断で、特に以下の点が重要だと感じている。
- 下り速度よりも上り速度(ビデオ通話・コードのプッシュに影響)
- 夜間の輻輳時間帯でも速度が落ちにくいこと
- 有線接続が可能な環境であること
回線の詳細は割愛するが、光回線を引いていて、在宅でオンラインミーティングやGitのプッシュが詰まったことは今のところない。フリーランスエンジニアとして在宅勤務するなら、モバイル回線ではなく固定の光回線が安心だと思う。
Wi-Fiルーターはケチらなくていい理由
回線を引いてもルーターが古いと意味がない。Wi-Fi 6(802.11ax)対応のルーターに変えてから、部屋の端での接続が安定した。
ルーターの詳細は特にこだわっていないが、Wi-Fi接続で大きな問題は出ていない。安定性が求められる業務の際は有線LANで繋ぐこともある。
| アイテム | 内容 |
|---|---|
| ネット回線 | 光回線(固定) |
| 接続方法 | Wi-Fi + 必要時は有線LAN |
その他の便利グッズ(ヘッドセット、キーボード等)
ヘッドセット:オンラインミーティングの生命線
在宅フリーランスの場合、週に複数回はオンラインミーティングがある。ノートPCの内蔵マイクで参加していると、エコーがかかったり周囲の音が混入して相手に迷惑をかける。ヘッドセットは最優先で用意すべきものだと思う。
ヘッドセットの具体的な機種は記載しないが、ノイズキャンセリング付きの有線タイプを使っている。ミーティング中に周囲の音が入り込まないだけで、相手への印象がかなり変わると実感している。
キーボード・マウス:毎日使うものへの投資
キーボードとマウスは1日に何千回もタイプするものなので、投資対効果が高いカテゴリだ。ここで妥協すると、手首・肩の疲労に直結する。
キーボードはKeychron K1 SEを使っている。フリーランスになってから初めてちょっと高めのメカニカルキーボードを買った。打鍵感とタイピング音が気に入っていて、毎日使っていてストレスがない。キーボードは毎日数千回単位でタイプするものなので、少し良いものに変えるだけで作業中の感触が全然違う。これは買ってよかったと思っている機材のひとつだ。
その他あると便利なもの
- USBハブ / ドッキングステーション:ThinkPadはポート数が少ないため、USBハブは実質必須。モニター・キーボード・マウスをまとめて繋ぐために使っている
- モニターアーム:現時点では使っていない。モニタースタンドのままでも作業に支障がないため様子見している
- 照明(リングライトや電球):特に用意していない。ミーティングの頻度が増えたら検討するかもしれない
作業環境の総費用まとめ
ここまで紹介してきた機材の費用を一覧にまとめる。独立をきっかけに新たに購入したものと、それ以前から持っていたものに分けた。
独立時に新規購入したもの
| カテゴリ | アイテム | 製品名 |
|---|---|---|
| PC周辺機器 | モニター(自宅用) | I-O DATA 外付けモニター |
| PC周辺機器 | モバイルモニター | InnoView |
| PC周辺機器 | キーボード | Keychron K1 SE |
独立前から持っていたもの(参考)
| カテゴリ | アイテム | 製品名 |
|---|---|---|
| PC本体 | メインPC | Lenovo ThinkPad X13(メモリ32GB) |
デスクとチェアは以前から持っていた安価なものをそのまま使っている。PC周辺機器が仕事の質に直結する部分なので、そこに投資を集中させた形だ。そして購入した機材の大部分は経費として計上できる。
経費として計上できるもの・できないもの
作業環境の購入費用は「仕事で使うかどうか」が経費計上の基準になる。フリーランスエンジニアの場合、自宅をメインの仕事場として使っているなら、以下の判断が基本になる。
基本的に経費になるもの
- PC・モニター・周辺機器:仕事で使う割合に応じて経費計上可。仕事専用なら全額。
- デスク・チェア:仕事用として使っているなら経費計上可。ただし仕事・プライベート兼用の場合は按分が必要。
- ネット回線費(月額):仕事・プライベート兼用なので按分が必要。一般的には50〜80%を経費とするケースが多い。
- ヘッドセット・キーボード:仕事で使うなら経費計上可。
注意が必要なもの
- 10万円以上の購入物:一括で経費計上できず、減価償却が必要になる場合がある(青色申告なら30万円未満の少額減価償却資産の特例が使える)。
- 家賃(自宅作業スペースの按分):自宅の仕事で使う面積の割合で按分できる。ただし証明の根拠をしっかり持っておくこと。
経費計上の具体的な方法・確定申告での入力手順については、こちらの記事でまとめている。
→ フリーランスエンジニアの確定申告:1年目にやったこと全部まとめ
免責事項:経費の取り扱いについては個人の状況によって異なります。詳細は税理士等の専門家に確認してください。
まとめ
フリーランスエンジニアとして在宅で働くなら、作業環境への投資は避けて通れない。
- チェアと回線は「ケチると後悔する」カテゴリ。ここに先に投資したほうがいい
- モニターはノートPC1台での作業と比べると、外付けにするだけで生産性が大きく変わる
- ヘッドセットはオンラインミーティングが週1回以上あるなら必須
- 購入した機材の大部分はフリーランスの経費として計上できる(10万円超の機材は減価償却に注意)
- ネット回線費は月額の一定割合を毎月経費として計上し続けられるので、塵も積もればの節税効果がある
作業環境の整備は「一度やれば終わり」ではなく、仕事の変化に応じて少しずつアップデートし続けるものだと思っている。この記事に書いた内容が、自分の環境を見直すきっかけになれば嬉しい。


