フリーランスエンジニアになって最初に直面する壁のひとつが「会計ソフト、どれにすればいいんだ?」という問題だ。
freee、マネーフォワード クラウド、弥生(やよい)と選択肢が3つあるが、それぞれ強みが違う。確定申告の時期になってから後悔しないためにも、フリーランス1年目のうちに自分に合ったツールを決めておきたい。
この記事では、フリーランスエンジニアとして実際に調べ・使った経験をもとに、正直な比較をしていく。結論から言うと、ほとんどのフリーランスエンジニアにはマネーフォワード クラウド確定申告が一番合っていると思う。その理由を含めて詳しく解説していく。
なぜフリーランスエンジニアに会計ソフトが必須なのか
「Excelや手書きで頑張ればいいんじゃないか」と思う人もいるかもしれないが、正直やめたほうがいい。理由は3つある。
青色申告65万円控除には複式簿記が必要
フリーランスの確定申告は青色申告が断然有利だ。青色申告の最大控除額は65万円で、所得税と住民税の合計で数万〜十数万円の節税になる。ただしこの65万円控除には、複式簿記による記帳と電子申告(e-Tax)が必要になる。
手書きやExcelで複式簿記をやることは理論上可能だが、現実的ではない。会計ソフトを使えば複式簿記の知識がなくても正確な帳簿が自動で作られる。
エンジニアの経費は量が多い
フリーランスエンジニアの経費は種類が多いのが特徴だ。AWS・GitHub・Notion・各種SaaSのサブスク、技術書の購入、勉強会の参加費、PC周辺機器の購入…これらをすべて手入力していると相当な手間になる。
会計ソフトには銀行口座やクレジットカードの明細を自動取込する機能があり、これを使えば月次の経費入力が大幅に楽になる。
会計ソフト代は確実に元が取れる
会計ソフトの年間コストは1〜2万円程度。65万円控除の節税効果と比べると、会計ソフト代は確実に元が取れる計算になる。時間コストを考えると、むしろ使わない理由がない。
3大会計ソフト比較表(freee / マネーフォワード / 弥生)
まず全体像を把握するために、主要スペックを並べてみる。
| freee会計 | マネーフォワード クラウド確定申告 | 弥生会計 オンライン | |
|---|---|---|---|
| 月額料金(個人プラン) | 980円〜 | 900円〜 | 838円〜(初年度無料) |
| 無料プランの有無 | あり(機能制限付き) | あり(機能制限付き) | なし |
| 銀行・クレカ自動連携 | ◎ | ◎(業界最多水準) | ○ |
| スマホアプリ | ◎ | ◎ | △ |
| サポート体制 | ○(チャット・電話) | ○(チャット・メール) | ◎(電話が手厚い) |
| UI・使いやすさ | ◎(直感的) | ○(やや慣れが必要) | △(やや古め) |
| 簿記知識 | 不要 | あった方が良い | 必要 |
| エンジニアとの相性 | ○ | ◎ | △ |
freee の特徴と向いている人
freeeの最大の強みは「簿記がわからなくても使える」UIにある。取引を登録するとき、借方・貸方を意識せずに「何にお金を使ったか」を選ぶだけでOKな設計になっている。会計用語が苦手な人でも直感的に操作できる点が評価されている。
freeeのメリット
- 簿記の知識がゼロでも使えるUI設計
- 確定申告書の作成から電子申告(e-Tax)まで一気通貫
- スマホアプリが使いやすく、外出先でのレシート撮影も楽
- ガイドに沿って進めるだけで申告が完了する
freeeのデメリット・気になる点
- 独自の用語・概念(「取引」「決算」の定義がやや独特)があり、他のソフトや税理士とのやりとりで齟齬が生じることがある
- 3ソフトの中では料金がやや高め(個人プランは980円〜)
- 自動仕訳の精度がマネーフォワードと比べてやや劣る場面がある
freeeが向いている人
会計・簿記の知識がまったくなく、とにかくシンプルに申告を終わらせたいフリーランスに向いている。「難しいことは考えたくない、ガイドの通りにやれば終わる」という人にはfreeeが一番ストレスが少ないと思う。
freeeは実際には使っておらず、調べた範囲での話になる。機能説明を読む限り、「簿記用語を意識せずに操作できる」という設計思想は確かに徹底されていると感じた。簿記の学習コストを下げたい人にとっては、最初の選択肢として有力だと思う。
マネーフォワード クラウドの特徴と向いている人
実際にメインで使っているのがマネーフォワード クラウド確定申告だ。銀行口座やクレジットカードとの自動連携が非常に安定していて、明細の自動仕訳精度が高い。エンジニアがよく使うサービス(AWS、GitHub、Notion、各種SaaS)の明細も大体自動で正しい勘定科目を当ててくれるのが地味にありがたい。
自分がマネーフォワードを選んだ決め手は2つある。ひとつは、以前から個人の家計管理に「マネーフォワード ME」を使っていたこと。同じシリーズの会計ソフトなら操作感に迷いが少ないだろうと判断した。もうひとつは、スマホアプリでレシートを撮影して経費登録できる機能の存在だ(freeeにも同様の機能はある)。
最初に連携したのは楽天銀行の口座だ。その後、仕事用のクレジットカードも連携して、プライベートの口座・カードとは完全に分けている。分けておくと「これは仕事の出費か?」という迷いが減って、月次の仕訳作業がシンプルになる。
マネーフォワードのメリット
- 連携できる金融機関数が業界最多水準(銀行・クレカ・電子マネー等、2,600社以上)
- 明細の自動仕訳精度が高く、エンジニア系のサービス支出もよく当たる
- 家計管理アプリ「マネーフォワード ME」との親和性が高い(すでに使っている人はシームレスに移行できる)
- 確定申告書の作成・e-Tax提出まで対応
- UIが比較的シンプルで、簿記の基礎知識があれば使いやすい
マネーフォワードのデメリット・気になる点
- 無料プランは連携口座数が2つまでなので、ほぼ使い物にならない。有料プランへの移行は実質必須
- freeeに比べると「簿記を知っている前提」な部分があり、完全な初心者にはやや難しく感じる場面がある
- 電話サポートがなく、チャット・メール対応のみ
マネーフォワードが向いている人
クレカや口座の明細量が多い人、自動連携の精度を重視する人に向いている。フリーランスエンジニアはサブスク系の経費が多いため、自動仕訳の精度が高いマネーフォワードとの相性が特に良い。簿記の知識が多少あるか、「覚える気がある」人にも向いている。
プラン選びの目安
マネーフォワード クラウド確定申告のプランは以下の通り(2026年3月時点)。
| プラン | 月額(税込) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 無料 | 0円 | 連携口座2つまで、明細取込12ヶ月分まで |
| パーソナルミニ | 900円 | 連携口座4つまで |
| パーソナル | 1,280円 | 連携口座無制限、確定申告書作成・e-Tax提出対応 |
| パーソナルプラス | 3,316円 | 税理士への相談機能付き |
フリーランスエンジニアとして本格的に使うなら、パーソナルプラン(月1,280円)一択でいい。連携口座無制限で確定申告書の作成・e-Tax提出まで全部できる。年払いにすると10,496円(月換算875円)になるので、1年使うなら年払いがお得だ。
弥生(やよい)の特徴と向いている人
弥生は会計ソフトの老舗メーカーで、長年の実績がある。電話サポートが手厚く、「困ったら電話で聞ける」という安心感は他の2ソフトにはない強みだ。初年度無料キャンペーンを毎年実施しているため、コスト面でも魅力的な選択肢になる。
弥生のメリット
- 電話サポートが充実していて、困ったときにすぐ相談できる
- 初年度無料キャンペーン(毎年実施)でコストを抑えられる
- 長年の実績があり、税理士や会計事務所でも広く使われている
- セルフプランは安価なので、PC作業に慣れている人にはコスパが良い
弥生のデメリット・気になる点
- UIが他の2ソフトと比べると古く、直感的に操作しにくい場面がある
- スマホアプリの使い勝手が良くない(外出先での入力には不向き)
- 連携できる金融機関数がマネーフォワードより少ない
- 簿記の基礎知識がある程度必要で、完全な初心者には難しい
弥生が向いている人
電話サポートを重視する人、コストを初年度とにかく抑えたい人に向いている。PC作業がメインでスマホでの操作は不要な人にも合っている。ただし、フリーランスエンジニアのライフスタイル(多数のSaaS、クレカ明細が多い、外出先でのモバイル操作)とはやや相性が悪い印象がある。
結論:迷ったらマネーフォワードがおすすめ
3つの会計ソフトを比較してきたが、フリーランスエンジニアには特段の理由がない限りマネーフォワード クラウド確定申告をおすすめする。
その理由はシンプルで、エンジニアの経費の大部分を占める「SaaS・クレカ明細」との自動連携精度が一番高いからだ。毎月の経費入力作業を最小化できるため、本業の時間を削らずに帳簿管理ができる。
もしfreeeに魅力を感じる理由が「簿記を勉強したくない」という点だけなら、マネーフォワードの操作を少し覚えれば十分対応できる。マネーフォワードも決して難しいソフトではない。
弥生については、フリーランスエンジニアのよくある使い方とのフィット感がやや低いため、特別な理由(税理士が弥生を使っている、電話サポートが絶対に必要など)がない限りは選ばなくていいと思う。
3つのソフトを選ぶべき人まとめ
- freee — 簿記知識ゼロ・とにかくシンプルに使いたい人
- マネーフォワード — クレカ・SaaS経費が多い・自動連携精度を重視するフリーランスエンジニア(ほとんどの人向け)
- 弥生 — 電話サポートが必須・初年度コストを抑えたい人
まとめ
この記事では、フリーランスエンジニア向けに会計ソフト3つを比較した。
- 会計ソフトは確定申告の65万円控除・経費自動連携のためにフリーランスには必須
- freeeはUI最重視・簿記知識不要で使いたい人向け
- マネーフォワードは自動連携精度・対応金融機関数でトップクラス。フリーランスエンジニアとの相性が一番良い
- 弥生は電話サポート重視・コスト重視の人向けだが、エンジニアのライフスタイルとはやや相性が悪い
会計ソフトは一度決めると毎年使い続けるものなので、早めに自分に合ったツールを決めておくのが得策だ。まだ決めていないなら、まずマネーフォワードのパーソナルプランを試してみてほしい。
フリーランスエンジニアとして必要なツールや設定については、このブログで引き続き発信していく。

