フリーランスエンジニアの単価交渉術【実際に月単価70万円台を交渉した話】

案件・働き方

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フリーランスエンジニアの単価交渉は、やり方を知っていると知っていないとでは結果が大きく変わる。フリーランスになって半年、1年と経つと「そろそろ単価を上げたいけど、どうすればいいのか」という壁にぶつかる人が多い。

エージェント経由のSES案件だと、単価交渉は「エージェントにお願いする」ものだというイメージがある。ただ、実際に交渉するとなると「いつ言えばいいのか」「何を根拠に話すのか」「断られたらどうするのか」がわからなくて、結局言い出せないまま時間が過ぎていく。

この記事では、実際に月単価70万円台への交渉を経験した立場から、エージェント経由の単価交渉をどのように進めるかを具体的に書いていく。「単価を上げるためにどんなスキルを身につけるか」というスキル戦略は別途まとめるとして、この記事は交渉の実務プロセスとテクニックに絞る。

フリーランスエンジニアが単価交渉するタイミング

参画から何ヶ月後が適切か

結論から言うと、参画後3〜6ヶ月経過・かつ初回契約更新のタイミングが交渉に最も適したタイミングだ。

参画直後に交渉するのは悪手だ。「この人はどんな仕事をするか」がまだわからない状態で単価を上げる理由がクライアント側に存在しない。最低でも1回目の更新を経て、「継続してほしい」という意向が先方から確認できてから切り出すのがベースラインになる。

一方で、「次の更新でお願いしよう」と後回しにしていると、ずるずると同じ単価で1年・2年と過ぎていく。フリーランスは自分で言わなければ単価は上がらない。会社員時代の年次昇給とはまったく仕組みが違う。

タイミング交渉しやすさ備考
参画直後(〜3ヶ月)実績がなく根拠が作れない
初回更新(3〜6ヶ月)実績が出始め、先方も継続意向がある
2回目以降の更新関係構築済みだが「今さら」感も出やすい
案件終了・乗り換え時新規参画なので条件の見直しが自然にできる

「交渉のきっかけ」を作る3つのタイミング

待っているだけではきっかけが来ない。以下の3つは意識的に交渉の起点として使えるタイミングだ。

  • 資格取得直後:AWS資格など、スキルアップの実績が生まれたとき。「取得報告」という自然な文脈で単価の話につなげやすい
  • 担当範囲が広がったとき:参画当初より明らかに多くの業務を担うようになったとき。「役割が変わった」という事実が根拠になる
  • 他のエージェントから高単価のスカウトが来たとき:競合オファーの存在は最も強い根拠になる。ただし使い方には注意が必要(後述)

エージェント経由の単価交渉の流れ(実際のやり取り)

交渉相手はクライアントではなくエージェント担当者

SES案件での単価交渉の相手は、クライアント企業の担当者ではなくエージェントの担当者だ。契約関係はエンジニアとエージェントの間にあるため、クライアントに直接「単価を上げてほしい」と言うことはできない(そもそもマージンを含めた単価を知らないこともある)。

エージェント担当者が間に入り、クライアントへの交渉を代行してくれる仕組みだ。つまり交渉の実務は「エージェント担当者を動かすこと」になる。

打診から回答までの実際の流れ

自分が実際に単価交渉を試みたのは、契約更新のタイミングだった。 エージェント経由で担当者に「スキルシートを更新したので、現在の市場相場も踏まえて単価の見直しをご相談させてください」と連絡したのが出発点だ。 そのタイミングでAWSの資格取得(SAA・SOA・DVAの3冠)と、PHP中心の開発からLaravelを使ったアーキテクチャ設計まで担当できるようになった実績をまとめてスキルシートに反映した。 交渉というより「実績を整理して提示した」に近い感覚だったが、それだけ準備の中身が大事だと実感している。

自分が実際に行ったときの流れを書く。契約更新の約1ヶ月前に、エージェント担当者に連絡した。

「次回更新のタイミングで、単価の見直しをご相談させてください。先日AWSのSAA・SOA・DVAを取得したこともあり、現在のスキル感と市場相場を踏まえて一度確認いただけますか」

このメッセージのポイントは3つある。

  1. 「次回更新のタイミングで」と明示することで、先方に準備時間を与えている
  2. 「AWS三冠取得」という具体的なスキルアップ実績を根拠として添えている
  3. 「市場相場を踏まえて」という言葉で、感情論ではなく数字の話であることを示している

担当者からの返答は「確認します」だった。ここから先はエージェント担当者がクライアントに掛け合う形になり、自分は待つだけだ。1〜2週間後に「XX万円で調整できました」という回答が来る形が多い。

交渉が難航したときの対処法

「クライアント側の予算の都合で、今回は難しい」という返答が来ることもある。その場合、その場で引き下がるのではなく「では次回更新のタイミングに改めてご相談させてください」と確認を取ることが重要だ。その一言を入れておくだけで、次の交渉のアクションが確約された状態になる。

また、「クライアント側は難しいが、エージェント側のマージンを調整することで対応できるケース」もある。担当者との関係性が良好であれば、「クライアント側の単価は変わらないが、エンジニア側の受け取りを増やす」という調整が入ることも実際にある。

交渉で有利になる材料の作り方

最も強い根拠:客観的な「市場相場」を示す

「もっと稼ぎたいので単価を上げてほしい」という要望は、相手にとって対応する理由にならない。交渉が通るのは、「市場相場と比較して現在の単価が低い」という客観的な根拠がある場合だ。

相場の確認には複数のエージェントに登録しておくことが効く。「Aエージェントでは同スペックの案件が月XX万円で出ている」という事実が、交渉の根拠になる。ただしエージェント名を出す際は「他のエージェントに乗り換えようとしている」という印象を与えないよう、「市場確認のために複数エージェントを見ている」という文脈で話すのがいい。

複数エージェントを活用した相場確認の方法についてはフリーランスエージェントの複数登録・使い分けも参考にしてほしい。

AWS資格取得は単価交渉の「切り出し口」になる

AWS資格はスキルアップの実績として交渉に使いやすい。「取得しました」という事実が自然な報告になり、そこから単価の話につなげる文脈が作りやすいからだ。

自分が使ったのはAWSアソシエイト3冠(SAA・SOA・DVA)だ。PHP/LaravelエンジニアがAWS資格を持つことはまだ少なく、「バックエンドもインフラも任せられる」というポジションは市場での差別化になる。

AWS資格の取り方・学習法についてはAWS認定アソシエイト3冠の完全攻略ガイドにまとめている。

スキルシートの「見え方」を整える

交渉前にスキルシートを見直すことも重要だ。エージェント担当者がクライアントに単価引き上げを交渉するとき、根拠として使うのはエンジニアのスキルシートだ。スキルシートの書き方が弱いと、担当者が交渉しにくくなる。

具体的に意識したのは以下の3点だ。

  • 経験年数だけでなく「何をやったか」を書く:「PHP 4年」より「PHP/LaravelでレガシーシステムのPHP5.6→8.x移行を担当」の方が伝わる
  • 資格は更新日付とセットで書く:「2025年にAWS三冠取得(SAA/SOA/DVA)」のように、いつ取ったかが明確な方が信頼性が高い
  • 担当した工程を明記する:「実装のみ」か「設計〜リリースまで」かで市場評価が変わる。実際に上流工程に関与していたなら必ず書く

交渉が難しい場合の次の一手

案件乗り換えで単価を上げる方法

現在の案件での交渉が通らない、あるいは現在の案件が終了した場合、次の案件を「単価引き上げ」を目的として選ぶという方法がある。

既存案件での単価交渉には「クライアントの予算上限」という制約がある。どれだけスキルアップしていても、そのクライアントの予算枠が変わらなければ上限が決まってしまう。新規案件ではその制約がなく、スキルシートの内容と市場相場に基づいてフラットに交渉できる。

「今の案件で満足して動かない」状態が続くと、気づいたら市場相場から乖離した単価で稼働し続けているということになりやすい。少なくとも半年に1回は他のエージェントで案件を検索して、自分の現在の市場価値を確認する習慣をつけることをすすめる。

SES案件と直案件の使い分け

単価の天井を上げたい場合、エージェント経由のSES案件だけでなく直案件(直契約)を視野に入れるという選択肢もある。エージェントのマージン(一般的に10〜20%程度とされる)がなくなる分、同じ稼働でも受け取りが増える。

ただし直案件は案件探しを自分でやる必要があり、営業・交渉・契約管理の手間がすべて自分に乗っかる。SES案件と直案件の違いについてはSES案件と直案件の違い・使い分けで詳しく書いているので、検討している人はそちらを読んでほしい。

複数エージェントを並行して競合させる戦略

エージェント間で競合させると何が起きるか

単価交渉において、複数のエージェントを並行して使うことには直接的な効果がある。「A社では同じスキルセットの案件がXX万円で出ている」という情報が手元にあると、交渉の根拠が格段に強くなる。

さらに踏み込んで言うと、「別のエージェントで面談が進んでいる」という状況を担当者が知れば、それ自体がエージェント側にとって危機感を生む。エージェントにとってエンジニアは「自社の売り上げを作る人材」だ。単価条件が合わなければ他社に移ると思わせることで、交渉が前向きに動くことがある。

ただしこれは関係性が悪化するリスクもある。「脅し」のように使うのではなく、「複数の選択肢を見ている中で、できれば今のエージェント経由で続けたい」というスタンスで話すのがいい。

使いやすいエージェントの組み合わせ例

私は現在、複数のエージェントを並行して使っている。 エージェントによってマージン率・案件のジャンル・担当者のレスポンスがかなり異なる。 「今の単価は高いのか低いのか」は1社だけ見ていても判断できない。複数に登録して横断比較することで、初めて自分の市場価値が見えてくる。 実際に別エージェントで同スペック条件の案件を見たとき、単価が月8万円以上違ったことがあった。こうした比較材料を持っておくと「今の単価は相場から見てどうか」が判断できるし、次の契約更新や乗り換えのタイミングで交渉カードになる。 担当者を「動かす材料」は外から持ってくるしかない。2社以上に登録しておくことは強くすすめたい。

各エージェントの単価交渉への使い方をまとめる。エージェントの詳しい特徴・比較についてはフリーランスエージェントの複数登録・使い分けを参照してほしい。

エージェント単価交渉への使い方
レバテックフリーランス希望単価を高めに設定して市場の反応を見る。案件数が多く相場確認の基準になる
ITプロパートナーズ週3〜4日稼働の案件が多く、稼働日数と単価のバランスを比較できる
フリーランスキャリア担当者が親身に相談に乗ってくれる。「今の単価は適正か」を客観的に確認しやすい
マイキャリ無料のキャリア面談で単価の相場感を把握できる

まとめ:単価交渉は「我慢ではなく習慣」

フリーランスエンジニアの単価は、自分で動かなければ変わらない。

会社員時代は「評価してもらえるまで待つ」という文化があったが、フリーランスに年次昇給はない。交渉しなければ、どれだけ実績を積んでも単価は最初のまま固定され続ける。

この記事でまとめた内容を整理する。

  • 交渉タイミングは参画3〜6ヶ月後・初回更新前後が最適
  • 切り出し口は「資格取得報告」「担当範囲の拡大」「他社オファーの存在」の3つ
  • 交渉相手はクライアントではなくエージェント担当者
  • 根拠は感情論ではなく「市場相場 + スキルアップ実績」のセット
  • 交渉が通らない場合は案件乗り換えも選択肢に入れる
  • 複数エージェントを持つことが交渉の根拠と選択肢の両方を作る

単価交渉は「やりにくい」ことではあるが、慣れれば契約更新のたびに確認する「定期点検」になる。最初の1回を乗り越えれば、2回目以降はずっとやりやすくなる。今の単価に少しでも疑問を感じているなら、まず担当者に「次の更新で一度相談させてください」と一言送るだけでいい。


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現在の単価に疑問があるなら、複数のエージェントに並行して登録して市場相場を確認するところから始めよう。

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